12月2日 マラソンの季節

マラソンランナーは 走る

スタートから 自分の足を信じて

自分のからだの調子も

自分のペース配分も

いちばん良くわかっているのは自分だ

 

だから マラソンランナーは 走る

すべての責任を自分の肉体に引き受けて

 

一心不乱に走りつづけるとき

見えるのは 道だけになる

ーーー その道だけが 精神を支えて

 

この世に生きる だれもが

マラソンランナーになる時を持つ

孤独感と疲労感を自分で克服しながら

 

*宮沢 章二・作『マラソンの季節』より